自治体の配食サービスを使わなかった理由|同居・昼食のみ・手渡しの3つの壁

夜勤明けで帰宅し、仮眠をとってから夕食を作る。生活リズムの一部になった今でも、体調や気分によっては面倒だと思ってしまう日があります。

帰り道にスーパーへ寄るのが習慣ですが、雨が降っていると一旦帰宅してしまう。そうすると、もう買い物に出る気力がない。

冷蔵庫を開けて、何もないことを確認して、ため息が出る。

母が「夜ごはんどうするの?」と呟く。

また、ため息が出る。

責めているわけではないと分かっています。母はただ聞いただけです。それでも出てしまう。

こういう日が月に何度かある。慣れの問題ではないのだと、だんだん分かってきました。

目次

まず調べたのは、自治体のサービスだった

配食サービス、と検索すると、まず出てくるのは民間の宅配弁当です。でもその前に、住んでいる自治体がやっているサービスがあるらしいと知りました。

介護保険の一部だと思っていたのですが、調べてみるとそうではありません。自治体が独自に行っている高齢者福祉のサービスでした。だから名称も内容も、市区町村によってまるで違う。「高齢者見守り配食サービス」「高齢者等配食サービス」「高齢者食事サービス」など、呼び方すらばらばらです。

私の住む自治体の場合は、こういう内容でした。

週6回、昼食を届けてくれる

月曜から土曜まで、週6回まで。認定された曜日に、住んでいる地区で決まった事業者が自宅へ昼食を届けます。事業者は地区ごとに割り振られていて、自分で選ぶことはできません。

届けるだけでなく、その場で健康状態や安否の確認も行います。名称に「見守り」と入っているのはそのためです。

1食500円ほど

食材費などの実費相当分として、1食あたり500円ほど。月末締めで、翌月に市から請求が来る形でした。

民間の宅配弁当が1食600円から900円あたりであることを考えると、かなり安い。しかも安否確認まで付いてくる。この時点では、正直かなり期待していました。

やわらかい食事にも対応している

お粥、やわらかめのご飯、おかずを刻む対応はしてもらえます。ただし治療食やカロリー制限食には対応していません。

母の食事はまだそこまでの配慮は要りませんが、これから先を考えると、対応してもらえるのはありがたいと思いました。

申請には調査がある

申請書を市の窓口に出すと、地域包括支援センターの職員が訪問して調査を行います。そこで利用が必要だと認められて、初めて利用開始です。ケアマネジャーによる申請代行もできるとのことでした。

手続きとしては特別に重くありません。書類を出して、来てもらって、認められれば始まる。

注意事項を読んで、手が止まった

申請書をもらいに行こうと思って、最後にパンフレットの「ご注意いただくこと」に目を通しました。そこで手が止まりました。

要約するとこう書かれています。

1日24時間のうち一部の時間帯であっても、家族などによる安否確認や、介護保険サービスの利用による安否確認が行われている日は、このサービスを利用することはできない。

何度か読み返しました。

つまり、私が同居している時点で対象外です。それだけではありません。デイサービスやヘルパーを利用している日も、その日は対象から外れることになります。

対象者の条件を読み直してみた

改めて対象者の欄を見ると、確かにそう書いてありました。

65歳以上の一人暮らし高齢者、または65歳以上の高齢者のみで構成される世帯。

最初に読んだときは「心身機能の低下により食事の用意が困難」という部分にばかり目が行っていて、その手前の条件を素通りしていました。母は該当する。でも我が家は該当しない。

見ていたのは同じ文章なのに、自分に都合のいいところだけ読んでいたのだと思います。

この制度が何のためにあるのか

落ち着いて考えれば、制度としては筋が通っています。

このサービスの名前は「見守り配食サービス」です。食事を届けることと同時に、その人が無事かどうかを確認するのが目的なのだと、資料にもはっきり書かれていました。真に見守りが必要な高齢者に向けたサービスである、と。

だとすれば、日常的に見守る人がいる家は、優先順位が下がって当然です。限られた予算の中で、本当に誰も来ない家に届けるための仕組みなのだから。

納得はしました。ただ、納得と、困っていないことは別の話です。

埋まらない時間帯がある

もうひとつ気づいたことがあります。

このサービスが届けるのは昼食だけです。

私が家を空けるのは夜です。夜勤に出る日の夕食と、明けて帰ってくるまでの時間。困っているのはそこなのですが、制度が埋めてくれるのは、私が家にいることの多い昼でした。

制度が悪いのではありません。ただ、私が困っている時間と、制度が想定している時間が、きれいにすれ違っていました。

自分が動けなくなったときに何が起きるかは、別記事に書きました

ここで大事なこと。条件は自治体でまったく違う

ここまで読んで「うちも同居だから無理か」と思った方がいるかもしれません。そこは早合点しないでください。

私の自治体は対象外でしたが、他の自治体の資料をいくつか見てみると、条件はかなり違っていました。

同居していても対象になる自治体がある

たとえば東京都江東区は、同居者がいる場合の条件をこう定めています。同居者が疾病または就労によって調理や買い物が困難であること。

つまり、働いているために食事の用意が難しいのなら、同居していても対象になり得るということです。

ただし、家族の支援で食事が賄われる時間帯や、デイサービスで食事が出る時間帯は対象から外れます。1日のすべてを埋めてもらえるわけではありません。

私の自治体とは、条件の作り方がまるで違いました。

だから、まず自分の自治体を調べてほしい

同じ「配食サービス」という言葉でも、中身はこれだけ違います。私が調べた範囲でも、対象になる条件、届く食数、1食あたりの負担額、すべてバラバラでした。

私の自治体では使えなかった。でもあなたの自治体では使えるかもしれない。

調べ方は簡単です。お住まいの市区町村のホームページで「配食」と検索するか、高齢者福祉の担当課、または地域包括支援センターに電話するだけです。パンフレットが用意されていることも多いので、そちらの方が条件まで細かく書かれています。

ここを読み飛ばさないでください。 私はホームページの本文だけ見て申請するつもりになっていて、パンフレットの注意事項で初めて対象外だと気づきました。

もうひとつ、引っかかったことがある

対象外だと分かった時点で、私にとっては終わった話でした。それでも資料は最後まで読みました。

そこで、もうひとつ気になる条件を見つけました。

手渡しでなければ受け取れない

このサービスは、直接手渡しでお届けします、と書かれていました。置いていくことはできません、とも。

見守りが目的なのだから当然です。玄関に置いて帰ってしまっては、その人が無事かどうか確認できない。

留守だった場合は、食事を持ち帰り、家族などの緊急連絡先に連絡が入る仕組みになっています。安否確認ができない場合は、人命確保のために関係機関や警察・消防が家に入ることもある、とも書かれていました。ここまで踏み込んだ仕組みなのだと、少し驚きました。

なお、置き配ができない点は、私の自治体に限った話ではありません。他の自治体の案内にも同じ記載がありました。安否確認が目的である以上、共通する条件のようです。

受け取れなかった日も、料金はかかる

そしてこの一文です。

渡せなかった場合は、有料キャンセルとなる。

食べていなくても、500円は払う。

読んだときは、それはそうだろうと思いました。作った食事は無駄になるのだから、事業者の側からすれば当然です。

ただ、少し想像してみると、これが意外と重い条件だと気づきました。

受け取れない日は、意外と多い

通院と重なった日。

体調が悪くて、玄関まで出られなかった日。

インターホンの音に気づかなかった日。

私が夜勤明けで眠っていて、母も気づかなかった日。

どれも、うちで実際に起こりうることです。そして気づきました。食事の用意が難しいほど体が動かない人ほど、玄関まで出て受け取ることも難しい

このサービスが対象にしているのは、まさにその状態の人です。

責めているのではありません。安否確認が目的である以上、手渡しでなければ成立しない。仕組みとして、そうならざるを得ないのだと思います。

ただ、うちが求めていたのは「私がいない時間を埋めてくれるもの」でした。受け取る人が家にいることが前提の仕組みでは、その役割は果たせません。

民間の配食サービスも紹介してもらえる

資料の最後に、こういう案内がありました。

民間が行っている配食サービスの紹介も市が行っていて、市のサービスが始まるまでの間や、市のサービス以外を使いたい場合に利用できる、と。

対象外だった私にとっては、こちらが現実的な選択肢です。市が一覧をまとめてくれているので、どこに頼めばいいか分からない状態からは抜け出せました。

ただ、値段は上がります。弁当代に配達料が加わるので、1食あたり800円台になる計算でした。

そして何より、受け取る必要があることは変わりません

安いか高いかの前に、うちが困っているのはそこではなかった。

このあと、受け取りが要らない選択肢として宅配の冷凍弁当を調べることになります。実際に取り寄せた記録はこちら →

結局、使わなかった理由

整理すると、私が自治体の配食サービスを使わなかった理由は3つです。

1. 私の自治体では、同居している時点で対象外だった

家族による安否確認が行われている日は利用できない、と明記されていました。ここは自治体によって違うので、あくまで私の場合です。

2. 届くのは昼食で、困っているのは夜だった

私が家を空けるのは夜勤の夜です。制度が埋めてくれる時間帯とずれていました。

3. 受け取る人が家にいることが前提だった

手渡しが原則で、渡せなければ有料キャンセル。私がいない時間を埋める役には立ちません。

制度が不親切なのではありません。この制度はその時間、誰も見ていない高齢者を見守るためのものです。目的がはっきりしている以上、そこから外れる家庭が出るのは当たり前でした。

ただ、働きながら親と暮らしている家庭が、その想定の外側に置かれることがあるのは知っておいていいと思います。私は調べるまで、当然自分が対象になると思い込んでいました。

では、どうしたか

必要だったのは、こういうものでした。

  • 受け取りに人が要らない
  • 曜日や時間に縛られない
  • 母が一人でも用意して食べられる
  • 私が動けない日でも、そこにある

条件を並べてみて、答えは一つしかありませんでした。冷凍庫に入れておけるものです。

届いた日に食べなくていい。夜勤の日も、明けで眠っている日も、冷凍庫の中で待っていてくれる。

そこから宅配の冷凍弁当を調べ始めました。実際に取り寄せて試したので、その話は別の記事にまとめています。

※配食サービスは自治体ごとに名称も内容も条件も異なります。この記事は2026年7月時点で私が調べた内容です。実際の利用条件は、お住まいの市区町村の高齢者福祉担当課、または地域包括支援センターにご確認ください。

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