この記事でわかること
介護が始まると、今まで通りの病院に通えなくなることがあります。
慌てないために、今のうちにやっておきたい「病院探し」の5つのステップをお伝えします。
やること、まとめ
- 親本人と、今の通院状況をしっかり話し合う
- ネットで「車で通える病院」の候補を調べる
- 実際に足を運び、院内も見学して確かめる
- 車で通える範囲の総合病院を把握しておく
- 地域包括支援センターに相談し、通院以外の選択肢も知っておく
ひとつずつ詳しく説明していきます。
なぜ介護が始まる前に病院を探すのか
夜勤明けで帰宅すると、母が「体がつらい」と言っていました。
すぐに連れて行ってあげたい。でも、どこに?
母が背中の圧迫骨折をしたのは、引っ越しをして間もない頃です。
新しい街に越してきたばかりで、近くにどんな病院があるかまったく把握できていませんでした。とにかく近所の内科に連れて行こうとしたのですが、行ってみると入口に段差と階段がありました。
圧迫骨折で体を動かすのがつらい母には、その段差が越えられません。
「ここは無理だ」。そう気づいたとき、次にどこへ連れて行けばいいのか、私にはまったくわかりませんでした。
慌ててネットで調べて、電話して、駐車場を確認して。その間も母は、痛みをこらえながら待っていました。
あのとき、もっと早く動いておけばよかった。本当にそう思います。
介護が始まると「今まで通りの病院」では通えなくなる
介護が始まる前は、病院探しをそれほど深く考えないですよね。
「ネットで調べて、レビューを見て、家から近くて良さそうなところ」で十分だと思っていました。私もそうでした。
ところが介護になると、話が変わってきます。
歩行が難しくなれば、車での通院が必要になります。そうなると、駐車場のない病院は選択肢から外れます。駅近のクリニックや小さな個人病院には、そもそも駐車場がないケースも多いのです。
駐車場があっても数台しかなければ、通院のたびに「今日は停められるか」という不安がつきまといます。予約して出かけたのに満車で停められない、ということも実際にありました。
さらに、院内の段差、トイレの使いやすさ、エレベーターの有無。こうした条件が、足腰の弱った親にとっては切実な問題になってきます。
これを介護が始まってから一つひとつ調べるのは、本当にエネルギーを消耗します。
だから、動ける今のうちに、少しずつ準備しておいてほしいのです。
私が実際に病院探しで苦労した体験は、母の圧迫骨折で病院探しに苦労した体験記で詳しく書いています。
病院探し、5つのステップ
① まず親本人としっかり話し合う
今どの病院に通っているか。何科にかかっているか。今後通う可能性がある科はどこか。
ここを把握することが、病院探しのスタートです。
ただ、一点注意してほしいことがあります。病気によっては、本人が言いにくいことがあるのです。
私の母の場合、婦人科に通っていることを息子の私に話すのをためらっていたと、あとから打ち明けてくれました。当時は把握できておらず、のちに慌てることになりました。
「しっかりサポートしたいから」「力になりたいから」という気持ちを伝えながら、何を聞いても受け止める雰囲気で話してみてください。ここで把握できていれば、先手を打って動けます。
話し合いのついでに、次のものの置き場所も確認しておくと安心です。
- 健康保険証、各病院の診察券
- お薬手帳
- 通っている科と、飲んでいる薬のメモ
② ネットで「車で通える病院」を調べる
話し合いで把握した診療科をもとに、ネットで候補を探します。
検索は「市町村名 ○○科」でシンプルに。隣の市町村も範囲に入れると、候補が広がります。
お住まいの都道府県の「医療情報ネット(ナビイ)」も便利です。施設によっては、駐車場やバリアフリー対応の情報が載っています。
ヒットした病院のホームページを確認して、駐車場の記載があれば候補に残し、なければ外す。この繰り返しです。
通院の負担を考えると、片道30分以内が現実的な目安だと感じました。診察の待ち時間を含めると、往復で思った以上に体力を使います。移動が長いほど、付き添う側も、本人も疲れてしまいます。
③ 候補に絞れたら、実際に足を運ぶ(院内も見学する)
ネットだけでは見えない情報が、現地には必ずあります。まず、外で確認したいのはこの3点です。
- 駐車場は何台停められるか
- 駐車場から入口までの距離と段差
- 日中の混雑はどのくらいか
毎回「停められるかどうか」を心配しながらの通院は、長期間続くと本当に疲弊します。自分の目で確かめておくことが大切です。
そのうえで、院内も見学させてもらいましょう。「今度通う可能性があるので、見学させてもらえますか」と受付に伝えると、意外と丁寧に対応してもらえます。行く前に電話を一本入れておくとスムーズです。
見ておきたいポイントはこちらです。
- 院内の段差、エレベーターの有無
- トイレの場所・広さ・手すりの有無
- 混雑しやすい時間帯(受付スタッフに聞くと教えてもらえます)
- 診察にかかるおおよその時間
古いクリニックだと、入口でスリッパへの履き替えが必要なこともあります。足腰が弱った方には地味につらいので、ここも確認しておくといいと思います。
④ 車で通える範囲の総合病院を把握しておく
総合病院は、ここまで挙げた条件を多くクリアしていることが多いです。
- 駐車場が広く、満車になりにくい
- 院内がフラットで、段差が少ない
- 多機能トイレが充実している
- 複数の診療科があり、内科と整形外科など、一度の通院でまとめて受診できる場合もある
「何かあったとき」の受け皿としても、安心感があります。
ただし、いいことばかりではありません。
- 待ち時間が長くなりやすい
- 院内が広く、診察室や会計までの移動が意外と長い
- 大きな病院では、紹介状なしで初診を受けると、追加の費用がかかる場合がある
だからこそ、普段は近所のクリニック、いざというときは総合病院、という使い分けがおすすめです。まずは車で通える範囲にどんな総合病院があるかを、早めに把握しておいてください。
⑤ 地域包括支援センターに相談し、通院以外の選択肢も知っておく
意外と知られていませんが、お住まいの地域には「地域包括支援センター」という相談窓口があります。介護が始まる前でも、家族からの相談に乗ってもらえます。
「親が通いやすい病院を探している」「通院が難しくなったらどうすればいいか」と聞いてみると、地域の事情に合った情報が得られます。
また、通院そのものが難しくなる日に備えて、こんな選択肢があることも知っておくと安心です。
- 医師が自宅に来てくれる「訪問診療」「往診」
- 車いすのまま乗れる「介護タクシー」
すべてを今決める必要はありません。「こういう手もある」と知っているだけで、いざというときの焦りが違います。
ちなみに、通院が始まると次に待っているのが「介護保険をどう使うか」という問題です。私はここで制度を知らず、6万円を無駄にしました。【介護が始まる前にやっておけばよかったこと②|介護保険の仕組みを知らずに6万円損した話】
今日から少しずつでいい
介護が始まったら、毎日の生活だけでいっぱいいっぱいになります。
そのなかで「一から病院を探す」という作業は、想像以上に体と気持ちを消耗させます。私はそれを身をもって経験しました。
でも、今なら時間はあります。
近々介護が始まりそうな方も、数年後に備えている方も、今日紹介した5つのステップを少しずつ進めておくだけで、いざというときの負担がぐっと軽くなります。
焦らなくていい。全部一気にやらなくていい。
あの日、痛みをこらえる母を前に、私は立ち尽くすしかありませんでした。もしこのステップをあの日より前にやっていたら、母をあんなに待たせずに済んだはずです。
同じ思いを、あなたにはしてほしくない。だから、動ける今のうちに。一歩ずつで大丈夫です。
※病院や制度、サービスの内容は、地域や状況によって異なります。詳しくは、かかりつけ医や地域包括支援センター、ケアマネジャーにご確認ください。
この記事は「介護が始まる前にやっておけばよかったこと」シリーズの1本目です。他の4つもあわせてどうぞ。
→【親の介護の準備、何から始める?7年間の在宅介護で後悔した5つのこと】

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