突然ですが、介護をしているあなたに聞いてみたいことがあります。
「最後に、介護している家族がお風呂でほっとした顔を見たのはいつですか?」
私はずっと、この問いが頭から離れませんでした。
お風呂が大好きだった母が、湯船に入れなくなりました
母はもともと、お風呂が大好きな人でした。
子どもの頃から、母がお風呂に入るといつも長かった。20分、30分は当たり前。「またか」と思いながらドアの前で待っていた記憶が、今でも鮮明に残っています。
そんな母が、大腿骨骨折と圧迫骨折をきっかけに、湯船をまたげなくなってしまいました。足が上がらない。無理にやろうとすれば、転倒のリスクがある。
パーキンソン病の影響もあって、体のコントロールが難しくなっていたことも重なりました。
だからシャワーだけになりました。あれから、もう1年が経ちます。
介護サービスを使えばいい、でもそれができない理由があります
「入浴介助サービスを使えばいいじゃないか」と思う方もいるかもしれません。
確かにそうなんです。でも母は、もともと人見知りがとても強くて。「知らない人に体を触られるのは嫌」と、どうしても首を縦に振ってくれないんです。
介護をしていると、こういう「正論だけどできない」場面って、意外と多いですよね。あなたも似たような経験、ありませんか?
冬だけは、本当につらかったです
特に冬は深刻でした。
湯船に浸からないと、体って芯まで温まらないんですよね。私もシャワー前の30分から脱衣所と浴室を暖房で温めて、できる限り寒くないように工夫していました。
それでも、上がってくるたびに母は言うんです。
「寒い寒い」
その言葉を聞くたびに、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。なんとかしてあげたい。ずっとそう思いながら、いい方法が見つからない日々が続いていました。
テレビを見ていたら、ひらめいたんです
そんなある日、テレビで熱海の足湯の映像が流れました。
観光客の方たちが、足を浸けながら気持ちよさそうにしている。その顔を見た瞬間、頭の中でピンときたんです。
これ、家でできるんじゃないかな。
洗車用の深めのバケツにお湯を張るだけ。材料はそれだけ。難しいことは何もない。「やってみよう」と思ったら、もう体が動いていました。
足湯を試してみた日のこと
バケツに45℃ほどのお湯を張って、母に足を入れてもらいました。
その瞬間の顔を、私は今でも忘れられません。
ふっと全身の力が抜けるような、静かな笑顔。そして出てきた一言が、
「あぁ〜気持ちい〜」
それは、湯船に浸かったときにしか出てこない声でした。2年ぶりに聞いた気がして、こちらまでじんわり温かくなりました。
やり方はとってもシンプルです
難しいことは何もないので、ぜひ気軽に試してみてください。
3分ほどで温度が下がってくるので、足し湯をしながら40℃をキープするのがポイントです。10分ほど浸けてあげると、体全体がじんわり温まってきますよ。
余談ですが、私も40代を超えてから足先の冷えが気になるようになりました。一度冷えると、なかなか温まらないんですよね。足元を温めると全身がポカポカしてくるのを実感するようになってから、高齢者の方にとって足湯がいかに大切か、身をもってわかるようになりました。
毎日10分、ほっとする時間をつくってあげてください
湯船に入れない理由は、人それぞれだと思います。骨折、転倒リスク、パーキンソン病による体の動かしにくさ、介護サービスへの抵抗……。
でも、バケツひとつあれば今日からでも始められます。
毎日たった10分でいいんです。その小さな時間が、介護されている方の毎日の楽しみになるかもしれません。
そしてきっと、あなたにも見られると思います。
介護を始めてから久しぶりに見る、その人の「ほっとした顔」が。
ぜひ一度、試してみてください。
【今回使用したバケツはこちら】

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