介護が始まった頃、何が一番大変だったか。
お金のこと?体力のこと?精神的なしんどさ?
もちろんそれもある。でも私が最初にぶつかった壁は、もっと地味で、でも深刻な問題でした。
母が通える病院を、ゼロから探すことでした。
引っ越しと介護が重なった。最悪のタイミングだった
介護が本格的に始まった頃、ちょうど引っ越しの時期と重なりました。
新しい街で、母が通える病院をゼロから探す。それがどれほど大変か、介護をしたことがない人にはなかなか伝わらないと思います。
母が通わなければならない病院は4つありました。整形外科、内科、歯医者、婦人科。健康な人ならネットで検索して「ここにしよう」で終わる話です。でも介護状態の母を連れて通うとなると、病院選びの条件がまったく変わってきます。
介護状態になると、病院選びはここまで変わる
母は圧迫骨折後、何かにつかまらなければ歩けない状態になりました。そうなると、病院に求める条件がこれだけ増えます。
①駐車場があること、②1階か、エレベーターがあること、③院内が広く段差がないこと、④あまり混んでいないこと、⑤トイレが使いやすいこと。
健康な頃は気にしたことすらなかった条件ばかりです。でも介護する立場になると、この5つすべてが揃わないと、通院すること自体が危険になる。
「駐車場あり」では足りない理由
駐車場の問題は、あるかどうかだけじゃありません。
小さなクリニックだと、駐車場が数台しかない場合がほとんどです。予約時間に行っても満車で停められない。近くにコインパーキングもない。そうなると、その日の通院は諦めるしかありません。実際に何度もそういう場面に直面しました。
通院は1回きりではありません。何年にもわたって続くものです。毎回「停められるかどうか」を賭けながら通うのは、精神的な消耗がじわじわと積み重なります。
待ち時間が長いと、それだけで具合が悪くなる
混雑している病院も避けなければなりません。
母は長時間座り続けると腰が痛くなります。以前、待ち時間が2時間かかってしまった時、トイレに2回行くことになり、本人も座っているだけで辛そうで、帰る頃には具合が悪くなっていました。
待つだけで体力を消耗する。そういう体になっているのです。
トイレの問題は、今も完全には解決できていない
母は緊張するとトイレが近くなります。狭いトイレ、段差のあるトイレ、混んでいるトイレ。どれも母には危険です。
私は息子なので、女性トイレに一緒に付き添うことができません。母がひとりでトイレに行く間、外で待ちながらいつもヒヤヒヤしています。普通のトイレで人と軽くぶつかるだけで転倒してしまう。尻もちをついたら、また圧迫骨折になる。その恐怖が常に頭にあります。
この時ばかりは「娘に生まれていれば付き添ってあげられるのになぁ」と本気で思ったりします。
多機能トイレは本当にありがたいです。専用で使えるから、他の人とぶつかる心配がない。介護をするようになって初めて、多機能トイレの存在に心から感謝するようになりました。
ランニングが、病院探しの武器になった
この5つの条件すべてを満たす病院を、4科分探すのは想像以上に大変でした。
ネットで調べるだけでは限界があります。駐車場の台数、院内の段差、混雑具合。実際に行ってみないとわからないことだらけです。
そこで私がやったのが、夕方のランニングついでに病院を見て回ることでした。「今日はあの病院を見に行こう」と目星をつけて、走りながら外観や駐車場を確認する。時間を変えて再訪して、混雑具合をチェックする。
ランニングは移動がしやすく、ゆっくり周囲を観察できます。病院の駐車場の広さ、入口の段差、近隣のコインパーキングの有無。走りながらだと自然に視野が広がって、車や徒歩では気づかないことも見えてきました。
病院探しとランニングが同時にできる。まさに一石二鳥でした。
約1年かかって、ようやく4つの病院が揃った
①②はクリアでも④が×。④はOKでも②が×。条件が揃いそうで揃わない。そんな繰り返しでした。
それでも諦めずに探し続けて、約1年かけてすべての条件が整った4つの病院を見つけることができました。今は毎回安心して通院できています。
まとめ|介護が始まったら、まず「通える病院探し」から
健康な頃は病院選びなんて深く考えたことがありませんでした。でも介護する立場になってはじめて、通院のハードルがこれほど高いことを知りました。
ネットの情報だけでは足りない。自分の目で見て、足で確かめる。その大切さを、この経験から学びました。
もし今、介護を始めたばかりで病院探しに困っている方がいれば、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。焦らずにじっくり探してみてください。きっと条件の合う病院は見つかるはずです。

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